月と太陽

わたしを照らす、眩しい光

何か月ぶりなのか。
久しぶりに記憶喪失ネタです。短いです。 そして、変わらず坦々。
確か、あと1話で終わるはずだったのに…もう1話続くらしい。あ、あれ?(滝汗)
ヘタレ日記が終わったので、カタギリに戻ります。
前の展開が分からないと、かなり意味不明な妄想です。
気にして下さった方は、よろしかったら過去捏造妄想を御覧下さい。


ぱちぱち拍手ありがとうございます!
励みになります!!
研究室のデスクに腰かけて。
転送された‘’親友’の検査結果に目を通しながら、カタギリは自嘲する。
自分は、随分と薄情な友人だ、と。
10日ぶりに目覚めたグラハムの為にドクターを呼んで。
それ以来会いに行けていない。
グラハムは、精密検査中だと自らを正当化をするが、所詮言い訳。
あれからまだ2日。
“いつもと同じ”態度で、彼に接する自信がなかった。

ふっと漏れた小さなため息に、口元を押さえれば。
指が触れた唇には、甘い口付けの感触が残っている。
『愛している』
ほんの数日の間に、耳に馴染んでしまった、ひよこの声。
強く抱き締められた腕と、熱い体温。
そして、右の手首に残った赤い痕。
その全てが、カタギリの心を動揺させる。
こんな揺れた気持ちで、26歳のグラハムの前には立てなかった。

『君は、私を、愛しているではないか。』
MSWADのエースは、ひどく勘が良いのだ。
20歳のひよこにすら言い当てられた感情を。
26歳のグラハムが、気付かぬ訳がないだろう。
もう少し時間が必要だと、ぐっと右の手首を押さえて、カタギリは思う。
この白衣の下に隠れた、赤い痕が消えて。
触れられた熱を冷まして。
抱えてしまった感情に、決して見通せぬ膜を被せてみせる。
『君を、愛しているんだ。』
あんなに求めてくれたひよこを傷付けてまで。
カタギリが選んだのは、親友として側に居るグラハムなのだ。
もっと、しっかりしなくては。

気合いをいれるように、ぱちりと両手で頬を叩いた途端。
ピピッと機械音が響いた。
カタギリの研究室の扉には、ロックがかけてある。
それは、入室を求める合図。
「誰?」
何の気なしに、それに答えてしまったことを、すぐに後悔した。
「カタギリ、私だ。」
マイクを通して聞こえたその声にすら、びくりと肩が動揺してしまう。
いつまでも側にありたいはずの存在は。
今は少しだけ。
カタギリの心を、重たくさせた。

だからと言って、追い返すことも出来ず。
扉のロックを解けば、シュッと音をさせて扉からグラハムが現れる。
金の髪が眩しいエースは、酷く難しい顔をしていた。
それもそうだろう。
10日も記憶がなかったと言われて、何も感じないわけがない。
「……やぁ、グラハム。検査は終わったのかい?」
「あぁ、特に問題はないそうだ。」
「良かったねぇ。でもしばらくは様子見で、待機なんだろ?」
客人にコーヒーを入れようと。
カタギリは、新しいカップを求めて移動する。
それは断じて、真正面から向かい合うのを避けるためではないと。
自らに言い聞かせなければ、ならなかった。

そんなカタギリの心中を知るはずもない男は。
だが、想像してた通りの言葉を吐いた。
「カタギリ、私は君に確認する事がある。」
「……なんだい?」
聞かれる事は、分かっていた。
「記憶を失っていた間、私は毎日この研究室に来ていたな。」
「来てたよ。」
だからカタギリは即答出来た。
からかうように笑うことだって出来る。
「結構噂になってたんじゃない?君が僕にドーナツを貢いでる、ってさ。」
「あぁ、そうだな。」
グラハムは噂の存在知って、その真意を確かめに来たに違いないのだ。
脳内でシュミレーションしたままに、言葉を紡げばなんの問題もない。

「君にドーナツをもらうのも悪くないね。」
美味しそうに食べる顔が見たい、と。
はにかんで笑ったひよこの顔が脳裏によぎって、カタギリは目を伏せた。
「心配して一番にかけつけた甲斐があったよ。ひよこの心理ってやつだね。」
手懐けて、たっぷり貢がせてやったよと言って、にっと笑う。
「僕の研究室に入るには、賄賂が必要だってね!」
それ以上の理由など何もない。
記憶のない親友をからかって、好物をせしめたのだと強調する。
聞いているグラハムは、酷く静かで。
順調なはずなのに、カタギリは、どこか不安定な気持ちになった。

「カタギリ。」
グラハムの声は、静かなのに。
圧倒的に強い。
けれど、応じる訳にはいかなかった。
「これからも差し入れは、ドーナツを希望するよ。」
「カタギリ、」
これ以上何か言わせてはいけない。
自分が喋り続けなくてはいけない。
何故かそんな不安に襲われて、カタギリは次の言葉を必死に脳内から検索する。
「だいだいグラハムはさ、無茶ばかりなんだよ、」
「カタギリ。」
地に響くような声と共に、ダンッと大きな音が響いた。

壁に打ち付けたグラハムの拳に、目を見張りながら。
それでも、カタギリには、沈黙する事の方が恐ろしい。
「なんだい?壁が壊れたらどうするのさ。」
馬鹿力なんだからと、笑ったカタギリに。
グラハムは、凍えるような低音で、確信を突いた。

「何故君は、先ほどから私の目を見ない。」

コーヒーを入れてあげてるからじゃない。
ぽそりと、唇から零れた声は小さすぎて。
カタギリ自身にさえ、聞こえたか分からなかった。
グラハムの瞳を見れない理由など、決まっている。
その緑の瞳は、きっと見つけてしまう。
6年も前から、カタギリの中に静かに存在したソレを。
決して外には出してはならない。
静かに、けれど紅く燃える。
狂おしい、恋、という想いを。


次こそ本当に終わりますからっ!って何回打っただろう(涙)












管理者にだけ表示

トラックバックURL↓
http://flag379gb.blog118.fc2.com/tb.php/687-f183a527